「プロの作曲家になるにはこういう力が必要なんじゃない?」
こんにちは、スキャット後藤です。

最近、劇場用作品のラフスケッチしてます。
どういう音楽が必要になるかは毎回悩みますね。
キャストも決定したので脚本がより具体的に見えてきた気がします。
気がするだけですが....

さて、今回は「プロの作曲家になるにはこういう力が必要なんじゃない?」
と感じたことを書いていきたいと思います。
 
某日、ひとつの仕事が舞い込んできました。
それはとあるイベントで使う音楽の選曲です。

選曲とは、イベントの流れに必要な楽曲を選んでいく仕事。
オープニングにはこの曲、このトークの場面ではこの曲、
この表彰式ではこの曲と。
オーディオストックみたいなフリーライセンスの楽曲から選んでいくのです。

今週末、2/23に愛知県体育館で行われるこのイベント。
https://www.wipofficial.jp/queendom/

すでに7割の楽曲は用意できているのですが、
新たに必要となるものを探さないといけません。

が!ここで思いついたのです。
まわりの作曲家に楽曲を借りようと。
いや、楽曲を作ってもらってその曲をお借りしようと。
(原盤や著作権は作家本人に残します。)

そもそも僕は選曲家ではないので手持ちの音源がほとんどありません。
あったとしても原盤権がなかったり、JASRACにあずけてたり。
サイトで音源を購入するのでもいいのですが、
それでは何の広がりもないし面白くありません。
しかもそれだと「そのイベント用の楽曲」になりません。

そこで、これから音楽の仕事をやりたいと思ってる人たち、
音楽の仕事をやりはじめたばっかりの人たちに声をかけてみました。
Twitterで知り合った人たちや、
僕のフリーランス作曲家講座を受けてくれてる人たちに。

あくまで「音源をお借りする」という立場なので、
この企画に乗ってくれる方だけの参加になってます。

オーダーを受けて音楽を作ったことがない人、
実績がないので、ここで実績を作りたい人、
面白そうなので参加してみたい人。


そして8人の作曲家に、楽曲依頼内容と前回のイベントの動画を送りました。

そして発注。
毎日なにかしらデモがあがってきました。
それに対応してディレクションしていきます。
 
結論から言うと、楽曲が採用されたのは3人。
他の5人はだいぶ苦戦し結局OKが出ませんでした。

この過程で気づいたことが沢山あります。
「プロの作曲家になるにはこういう力が必要なんじゃない?」
ということです。

僕にとっては日常のことでも、
仕事やりはじめの人たちには難易度の高いことだったようです。
こういう楽曲依頼を行なったことで僕自身気づきました。


それでは、いくつかあげていきます。


・オーダーを理解してない。
これは最初の依頼文をちゃんと読んでないとか、
資料にちゃんと目を通してないということ。

僕の場合ですが、
たいしたことを言われず、ちょろっと「○○な感じがいいかな。どうかな?」
くらいで打ち合わせが終わることも多くて...
なので、短い時間で交わしたことを何度も思いだして
「あの意味はどういうことだったんだろ?」と。

とにかくフラットは気持ちで依頼内容を繰り返し読んで頭に入れること。
前後の文との兼ね合いでわかることをすっとばす人もいたりします。



・客観的に自分の曲が聴けていない。
   
職業作曲家というのは、音楽を聴いた人が○◯と感じるというのを
逆算して作るわけです。
「かなしく」感じてもらうための曲とか、
「テンション」をあげてもらうための曲とか、
実際はもっと複合的だったりします。

自分の悪いところがわからないと、そこをアップデートしていけません。
課題がわかるものの今の自分ではどうにもできないと
いうケースもあるとは思いますけども。
   
「修正しました。これで大丈夫だと思います」とデモをもらったりもしたのですが、
前回と印象が変わってないこともありました。
これはよくあるケースで....。
過去にも「これどこをなおしたの?」って聞き直したことが多々ありました。
他人がパっと聞いて違いがわからないものでは意味がないです。
    
細かい部分を見過ぎていて全体が見えてない人にも多い気がします。

あと人の曲だと「同じ展開」が続きすぎて飽きてくると感じても、
自分の曲だと感じない人も多いようです。

なるべく人の曲をジャッジする時の気分で、
自分を評価していくのも大事なのかなと僕自身は思います。

     
・試行錯誤してない。

これはオーダーを理解した上での話ですが、
パっと思いつきだけで曲にしてる人が多かったです。
慣れてる人は瞬間的にアイデアを思いついたりもするのでしょうけども、
こういう可能性がある、こういう可能性もあると試行錯誤してないなと感じました。   
すぐに「こんな曲はどうですか?」と聞いてくるのもそのひとつかもしれません。
  
僕自身がずっと意識してるのは、相手に作った音源を確認しすぎないってこと。
これって自分で考えることを放棄してるんです。
この日に一発でOK出るものを...というケースは多々あります。
質問すればするほど「こいつ理解力ないな」と思われる危険性もあります。
ま、変なものを勝手に作ってタイムリミットになってしまうよりは
ちゃんと事前に確認する方がいいのかもしれませんが。

緊張感を持って仕事する。オーダー受けた内容のベストな形なんて
すぐに答えが出ません。なのでいろいろな可能性を考えるのです。
 


・参考曲の解釈。

最初から参考曲を用意したわけではなかったのですが、
個別に修正を繰り返してもらう間に
具体的に話すために「たとえば」の例を聞いてもらったりしました。
実は参考曲ってすごく危険だなと常に思っていて....

同じ曲を提示されたとしても、その参考曲を選んだ人によって
「参考曲」の意味合いがかわります。

単に使う楽器の種類とかジャンルを示すための場合もありますが、
なぜこの曲が選ばれたかの根本的な部分を考えるといいのかもしれません。

ま、変に音源を聞かせてしまった僕のミスでもあるのですが。
ディレクションもうまくならないとダメですね。
すみません。



・BGM癖がついてる。

とにかく淡々としてる。
BPMは早いのにずっと同じことをしてるので早さを感じない。
聞かせたいメロディーもない。わくわくしない。
どこか抑制されたものを感じる。前に出てこない。
いや、そういう曲も仕事では必要なのですが、
今回は音楽が主役になるような曲が必要で。
何を主張するかが音楽に入っていないので
音楽で引っ張っていけないのです。
    
これは試行錯誤とか、客観的に見れてない...にも通ずるのですが、
どうやることで音楽が主体のものになるかということを
考えていく必要があると思いました。
  
映像にさりげなく雰囲気があう音楽と、
音楽が映像をひっぱっていくような音楽との使い分けですね。


・作曲家に必要な能力。

作曲家を目指す人のほとんどは、自分でこういうのを作ろうと
決めて形にすることがほとんどでしょう。
でも職業作曲家は、人がオーダーしたものを作って人がジャッジします。

僕がいま引き受けてる仕事でもそうですが、
都合よく自分が得意なジャンルの音楽のオーダーがくることはありません。
今回、楽曲制作に関わってくれた人たちのほとんどが、
オーダーを受けて作曲することがはじめてでした。
聞いたこともないようなジャンルの音楽を作ることも多いです。
いろんな人の話を聞いてみると、そこがかなり難しかったようです。

自分の得意なところを伸ばしていこうという話はよく出ますけども、
その前にある程度浅く広く作れるように
なっておくことは必要かなと思います。
職業作曲家になるならってことですけども。


---

   
ざっと思いつきで文章を書いたので抜けてる部分もありそうですが、
このような感想を持ちました。

今回、コンペじゃなくてOKが出たら必ず楽曲を使用する
ということで始めたのですが、
「勢いがあって、期待感があって、キャッチーである」が
満たせなかった人が多かったので、採用楽曲は3人で5曲でした。

その5曲は4日後に会場に流れますし、テレビでも放送されます。
いずれDVDかBlu-rayになる可能性もあります。
実績になった人、ならなくて悔しい思いをした人。


ただ、参加してみてプロに必要なことを痛感して
勉強になった人がほとんどでした。
プロに必要なスキルは実際に仕事しないと身につかないってことですね。

またいつかこういう機会があるかもしれないので、
その時にはまた声をかけてみたいと思います。

僕にとっては、一緒に仕事出来る地方の作曲家を探す旅でもあります。



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スキャット後藤 (Twitter : @cutecool_kikkau , @scatgoto )



by scatgoto | 2018-02-19 09:22 | フリーランス作曲家講座
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